『竜と勇者と配達人』2巻ネタバレ感想 豊かな社会vs剣と魔法の復権

2021/08/09

竜と勇者と配達人

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『竜と勇者と配達人』2巻(2017年10月19日発売)のネタバレ感想です。

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レベルアップを果たし、晴れて一人前の配達人となったハーフエルフの吉田。なのに面倒な仕事が減る気配はなく、法を無視する冒険者や先輩の家に巣食うスライム、盗賊の残党らに手を焼く毎日……。名もなき仕事人たちの活躍を描くファンタジー物語、秩序と混沌の相克が幕を開ける第2巻!


第8話 吉田と冒険者と安息日

吉田が安息日(日曜日)を過ごす。安息日は法律で労働禁止と定められており、仕事をするには労働許可証が必要になる。

吉田は街で警吏に追われる兎耳の少女・イノリエ(冒険者 Lv32 滞納のイノリエ)と遭遇する。吉田はとっさに警吏からかばい、イノリエは吉田を「愛しき人」と呼ぶ。イノリエは駅逓局を通さない怪しげな「配達」の途中だった。

イノリエは冒険者を基盤に職を極め勇者になるのが目標だと話すイノリエの父・未納のヤルレッド(冒険者 Lv52)は凄腕だったが、お上に目をつけられ勇者になれなかった。イノリエは勇者になるために受けた以来は必ずこなすことを信条とする。

届け先の家の前に警吏・皆勤のミキシン(Lv28)がいるのを見て吉田が策を講じる。イノリエをわざとミキシンの前に突き出し、その間に吉田が変わりに手紙を届ける。報酬を受け取らなければ労働ではない、というのが吉田の考えだった。

翌朝、吉田の日課の朝の唱和が「杓子定規」から「臨機応変」に変わる。吉田なりに自分の正義について考えた。

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第9話 見習いと吉田と配達人

吉田が配達人Lv10になり、正規配達人に昇格する。駅逓局員達がお祝いの宴会を開くが、吉田はその最中先輩たちからマッサージを受けて吐血する。吉田は奉仕をされることに慣れていなかった。

宴会後、吉田は見習い期間が普通より短いことを疑問に思う。通常数年の下積み期間があるはずだった。先輩は、仕事が増えてきているため局の明日を担う人材を育てる必要があるからだと説明する。吉田は期待されていた。

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番外編 9.5話

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第10話 暮と勇者と配達人

年末、駅逓局は年賀状の配達準備に入る。新年の挨拶に手紙を送ろうというキャンペーンを開いたところ予想外に浸透し、結果通常の一ヶ月分の手紙を新年早朝に配る必要があった。局長は出張で不在で、臨時で冒険者を雇って事態に臨む。

モンスター・はぐれヒヤシンスに襲われ長老とベテラン配達人が負傷する。代理でロサ(配達人 LV25 禁断のロサ)が指揮を取る。トラブルは続き、配達完了は絶望的になる。

イノリエが偶然会った勇者・グルタク(勇者 Lv53 竜殺しのグルタク)(2話参照)に配達協力を依頼する。勇者は自由に民家に出入りできるなど様々な特権を持っており、配達はなんとか完了する。

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第11話 吉田とスライムと家庭訪問

先輩が出社せず、吉田が先輩の家に様子を見に行く。先輩は飲み過ぎで寝ていただけで、散らかり放題の室内を見かねて吉田が掃除を始める。先輩の家は何故かスライムだらけだった。

掃除を終え出社し、家に戻るとスライムが融合して先輩の家が破壊されている。

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第12話 剣と鎧と豊かな社会

合法軍団 第20席・大鉈のモルガは合法軍団の活動に不満を持つ。最近はビラ配りや市民向けの説明会などの活動ばかりになっていた。さらに、子供の間で『脱税ごっこ』という遊びが流行り、モルガは石を投げつけられる。

巨大スライムが家を破壊してるという騒動(11話)を聞き、モルガとキルマリア(合法軍団 第四席 葬花のキルマリア)が現場に駆けつける。しかし、キルマリアは出動要請が出ていないとモルガに手を出さないよう指示する。できるのは立っていることくらいだ、とスライムと子供の間に立ち、身を挺して攻撃から子供を守る。キルマリアは厳格に法令遵守を推進し、新しい社会を作る全市民合法化計画をモルガに説く。

モルガはキルマリアの言葉で気づきを得て、合法軍団の活動に精一杯取り組む。

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第13話 野党と筒と配達人

吉田は配達中にちんぴらに絡まれ、昇進祝いでもらった護身用の石火槍(筒状の銃)で応戦する。しかし筒は暴発したうえ、ちんぴらに奪われてしまう。新開発の武器は金になると思われた。

吉田がイノリエ(冒険者 Lv33 滞納のイノリエ)と一緒に筒を取り返しに向かい、居合わせたモルガも同行する。イノリエとモルガがちんぴらを蹴散らし、吉田も投石でひとりを倒す。

筒が元スペルト団の棄教者イズニール赤爪のヤスミディア氷結のパキリに奪われる。三人は筒を再就職の手土産にすると言って去る。(5話、6話、7話)

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第14話 秩序と混沌と再就職

ヤスミディアとパキリは魔術師組合をクビになり、その後スペルト団に入ったが三ヶ月で団は壊滅した。スペルト団は『組織』の三次団体で、ヤスミディアたちは二次団体の『八ツ目一家』に入れてもらおうと関係者を探す。

ヤスミディアたちは関係者の男と接触しついていくが、イズニールがボウガンで胸を射ち抜かれる。男は合法軍団の変装だった。

物乞いの老婆が現れ、合法軍団を瞬殺する。老婆の正体は“組織”系二次団体 八ツ目一家 総長 大魔道 LV76 八ツ目の■■■■■■だった。八ツ目はヤスミディアとパキリの師匠『四つ目』の師匠で、ヤスミディアたちの大師匠にあたる。八ツ目はパキリの差し出した筒を「凡人が力を有するための道具」と言って破壊する。八ツ目は秩序の時代に向かおうとしている世界を再び剣と魔法の世界に引き戻そうとしていた。

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あとがき


新しい組織が登場する巻でした。キャラクターが一気に増えて話がすこし難しくなってきました。

陣営は大きく分けて、「秩序」側と「混沌」側に分かれるようです。秩序側が主人公のいる駅逓局や合法軍団、魔術師組合などで、混沌側が名称不明の組織配下の八ツ目一家やスペルト団。普通なら平和と秩序を掲げる側が正義のように思えますが、合法軍団は思想が極端すぎる気もします。市民の間でも役所のやり方に対する反発が少なからずあり、どう展開するかわかりません。

登場するごとにキャラクターのLvが少しずつ上がっているのが細かいなぁと思いました。勇者グルタクがレベル50台なので、八ツ目のレベルは本当に圧倒的です。


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